「オベイション(ovation)」とは、大拍手あるいは大喝采のことです。名ナンバーの直後や、カーテンコールでは当たり前の光景ですけれど、「スタンディング(standing)」となると珍しいですね。
今回のテーマは、スタンディング・オベイション、略して「スタオベ」です。
自主性が大事です
講演会や歓迎会では、「さぁ皆さん、スタオベで迎えましょう」なんて言う司会者があります。講演者や主賓がVIPであれば、来場したことに敬意を表して、スタオベも有りでしょうか。しかし、主賓挨拶や講演への賛辞は・・何で表すれば良いのでしょうか。結局は同じ、スタオベであったり・・。司会者の気負いが分からぬでも無いものの、出迎えにスタオベはオーバーかも。
結婚式なら許されますが、「それでは皆さま、スタオベでお見送りください」というのも失礼です。彼らに拍手や喝采を与えるかどうかは、個人の勝手です。「拍手でお応えしましょう」でも失敬ですが、スタオベを強制するのは、いかがなものでしょう。人間には賛同する自由があり、賛同しない自由もあります。スタオベで応えたい人だけが、応えるべきです。スタオベの基本は、自主性に委ねることです。心の籠もらないモノなら、貰う方も嬉しくない? 貰えれば嬉しい? う〜む。
スタオベは、最大級の賛辞
下手でもオベイションを贈るのが・・日本の悪しき慣習です。いつかも書きましたが、下手な出し物にはブーイングや冷笑で応えるのが、欧米流です。お付き合いで賛辞を送っても、付け上がるだけです。やはり、良い出し物や、上手いキャストに対してのみ、オベイションを贈るべきだと思います。
そういう意味では、スタオベは、最大級の賛辞だと思います。観客席から花束を贈るよりも・・観客総立ちになっての拍手喝采こそがベスト・オベイションでしょうね。だからこそ、誰かに強制されるでもなく、自発的に贈りたいと思われませんか? 宝塚歌劇は知りませんが・・劇団四季でもスタオベに出会うのはマレです。劇団四季は、まだ28公演しか観ていませんが、スタオベに遭遇したのは3回です。
中には熱心なファンが強引にスタオベに持ち込もうともしますけれど・・他の観客が続くかどうかは、作品の出来映え次第です。立ち上がったものの座り直すファンもあったりしますので、自発的なスタオベは保たれている感じがしますね。
というわけで、今年最後のコラムになります。2002年の観劇数は67作品75公演となりました。残業三昧から抜け出せなかったことも理由ですが、小劇場系作品の急減が「70作品目標」の未達になりました。2003年はもっと多くの作品を観るべく頑張ります。スタオベができる素晴らしい作品に、一つでも多く出逢えることを願っています。
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