ディテールのこだわり

 ミュージカルは、娯楽であります。脚本家や演出家が「遊ぶ」ことによって、作品にアクセントが付くことも多々あります。この「遊び」は、半端であると纏まり悪く、筋が通っていると纏まりよい、というモノです。

遊びたおし

作品の中で何度もベタギャグを飛ばす作品があります。小劇場系では少なくなく、2本に1本ぐらいと言っていいかも。一見してアドリブっぽいのもありますが、「脚本に書いてあるんだなぁ」と実感させるようなのが多いです。つまり、それだけ不自然さがあると言いますか。間の悪いもの、センスの旧いもの、ベタベタなおやぢギャグ・・なんてのは疲れます。それも繰り返しだと疲れますね。

しかし、詰まらないギャグでも、何度も同じ調子で繰り返されると、味わいがあります。また、一見バラバラでもトータルで雰囲気が出てくることもあります。要するに、思いつきで適当に入った「遊び」ではなく、ダメ押しまで入った「遊びたおし」ができるかどうかなのでしょう。言ってみれば、吉本興業とか、ドリフターズとか、でしょうか。

ディテールに拘る

ギャグは、芝居に限りません。セットにも、ダンスにも、ミュージックにも、プログラムにも・・盛り込むことができます。さらにウィット感に富んだものは、グッドですね。少しぐらい客が考え込むようなものも、良いと思います。そういう意味では、台詞にちょっと混ぜた単発ギャグは、稚拙ということでしょう。

隅から隅まで遊び倒す作品もあります。こうなると、美術・音響・照明・衣裳までスタッフを総動員して、遊ぶことになります。バラバラだと困りますが、きちんとコンセプトが揃っていると楽しいものです。これまで観た作品の中で「絶品」だったのは、「CONTACT」です。劇団四季が演じていますが、規模半分で、楽しみも半分です。

ディテールへの拘りと調和・・は一種の芸術です。いくつも発見して一緒に遊んでみてください。国内作品では「キレイ」(松尾スズキ作/演出)、「ear」(中村龍史作/演出)が印象に残りました。タナボタ企画のシリーズも楽しめますよ。

 ギャグやジョークは、本来は付け合わせです。ショービジネスとしては、小技で笑いを取るのは、いささか邪道かと思います。笑わせることだけでは、目や耳を楽しませることができないからです。ミュージカルの良さは、目・耳・頭・心・体を楽しませるものですから、味付けの一つとして、上手に演出して欲しいです。