あくたーず・るーつ

 ミュージカル俳優のルーツ。学生時代から「ミュージカル研究会でした!」という人を除けば、誰しもアクター、シンガー、ダンサーからの転属組です。近頃は、シナリオライター、ミュージシャンからという変わり種もありますが・・。

安心してみられる、アクター組

ストレートプレイから転じたアクター組は、芝居を本格的に積んだ経験を活かし、安定した演技力を発揮します。いくらミュージカルと言えども、ダンスを避けることは簡単ですし、ソングもコーラス参加なら問題ありません。軽いステップや優しい歌唱なら、短期集中でも可能でしょう。

台詞をよく憶え、身振り手振りを交え、とちらずに話す。これを簡単にクリアしてみせるアクター組は、ミュージカル俳優人の要になりますね。歌舞伎や狂言からの転属組もありますが、こちらはクセがあって、なかなか厳しいかも。

こだわり深い、シンガー組

ミュージカルですので、ソロやデュオを極めてくれるシンガーは貴重です。いつかも書きましたが、ストレートプレイ劇団がミュージカルに転向すると、実にキビしい。客演でも良いので、プロ級のシンガーが欲しいところです。とはいえ、こだわりが深く、妙にシナリオ展開を狂わせることも・・。

歌になると格別だけど、芝居はサッパリ。結構多くいらっしゃるシンガー組です。ヒーロー・ヒロインは歌唱シーンが欠かせず、芝居も必須。このバランスをクリアできる人材が少ないかも。

自意識過剰、ダンサー組

ミュージカルのダンスで、モダン系ダンスのバリエーションが増えています。このため、本格的なダンサーを投入する必要が増しています。振付家の有能さでカバーできる面があるものの、やはり数名はプロ級が必要です。メリハリある動き、モーションのキレ、絶妙のバランス感覚・・いずれも大事ですね。

ダンサー組の課題は、自意識過剰。全ての人がそうとは言いませんが、名の売れたダンサー組は、等しくナルシスト。自分の美しさにこだわり、自分の存在感を強調しすぎます。結果・・舞台で目立ちすぎる行動が増えたり。シンガー同様に、シナリオ展開を狂わせたりも。とくに、ダンサーグループが主体の作品は、いつもボロボロです。

 公演パンフレットをみると、皆様も傾向を読みとれます。ダンサー組は、師事した先生や、レッスンを開始した年齢を強調したものが多く、小さな発表会でも大きく自己紹介する傾向。シンガー組も、師事した先生を書きますが、専ら卒業学校名かと。アクター組は、出演作品の多さを強調したものが多いです。
 皆さん、ルーツを大切にされるのは良いことですが、早くミュージカル俳優に化けて欲しいです。