すとっぷもーしょん

日韓友好ということで、韓国劇団のシンシが来日しました。ドイツ作品であるそうですが、黄金鍵というアイテムを絡めた「GAMBLER」というミュージカルです。韓国語は分からないので、とりあえずシナリオを頭に叩き込んで・・開演に臨みました。

高いグレード

1987年設立の中堅劇団であるそうですが、技術力は高いです。とくに演技力があり、ダンスもしっかりしています。ソングは、男優が巧く、女優がやや弱いという感じでしょうか。「ウエストサイド・ストーリー」など海外作品を数多く輸入上演し、韓国版の劇団四季でしょうか。

ダンスは、フォームが綺麗で勢いもあります。テンポも揃いますが、フォーメーションが崩れるのが・・ちょっと課題でしょうか。サービス精神旺盛で、強いプロ意識を感じました。日本では、なかなかお目に掛かれない真摯さです。また、マイムがしっかりしていることもあり、台詞が分からなくても雰囲気がよく伝わります。ステージの端で動いている端役であっても、きちんと演技をしています。見られることをよく意識しているのでしょう。

難易度、A

個人的に難しい芝居だと感じているのが、ストップモーションです。これは、全員が同じタイミングで動作を止め、同じタイミングで動作を戻す必要があります。「止め」の際には、手足はもちろん、目や顔の筋肉も動かしてはダメです。これは苦しいですが・・極まると見事です。「戻し」の際には、「止め」の直前までの動作と繋がるように、違和感の無いモーションが問われます。

直立不動で「止め」るのは簡単です。しかし、これは面白くありません。二人ぐらいで「止め」ても詰まらないです。多人数であり、しかも大きな動きの途中で止めるのが、面白いのです。本作では、序盤に2度、その後に1度のストップモーションがあります。いずれも多人数で、前傾動作や腕の振下し動作を絡め、目や口を開いた表情のままモーションが「止め」になります。実に見事でした。

オフ作品「ファンタスティック」でもストップモーションがありましたが、やや作為的でした。「止め」に入るべく楽なモーションを採用し、人数も4人というのが課題であったでしょうか。劇団「魔印D」のストーレトプレイでも、面白いストップモーションがありました。この劇団は「早送り」や「巻き戻し」という必殺技もあったのですが、近頃どうされているでしょう。

 というわけで、なかなかストップモーションにお目に掛かれません。難易度が高いというのは、それだけ技能の高さの証明にも成ります。ぜひトライされる劇団が増えることに、期待しております。脚本・演出家さんは、劇団員の恨みを買いそうですが・・。