音源について思うこと

公共ホールであれば、備え付けの音響設備を使うことが多いです。しかし、使い慣れた機器が接続できない場合は、自前の設備を用意する必要があります。このため、不似合いに旧式で巨大なスピーカー等にお目に掛かることがあります。

理想は、点音源

一基のスピーカーから発せられる音波は、その表面から半円状に拡がっていきます。真正面だと良く聞こえますが、脇に成ればなるほど聞き取りにくくなります。音が歪んだりもします。これでは劇場全体に均一に音を届けられません。二基のスピーカーを左右に配置すると、少し緩和されますしステレオも可能ですが、やはり座席による不公平が出てしまいます。

通常は、前方・後方・側面にスピーカーを配置し、サラウンドで提供しますが、それでも音の干渉や遅延の問題が残ります。理想的には、点から全方位に放射する点音源です。とはいえ、劇場規模で音を均一に伝える点音源は、非常に高価ですし、あまり意味がありません。加えて、公共ホールなどは既設の音響設備で最大限の効果が得られるよう、音の反響等を工夫してあります。理想的な点音源でも、調整は難しいでしょう。

ソング&ミュージック

音源はともかく。生演奏であれば問題は少ないのですが、録音されるミュージックの場合は、ソングとの兼ね合いが難しいようです。とにかく響きすぎて、肝心のソングをかき消すことが多々あります。おそらく十分な調整時間がなく、前日や当日に初めて劇場入りしてしまうスタッフが多いためでしょう。小さすぎるよりも大きすぎることの方が多いと感じています。

それでなくてもソングは、胸マイクや床マイクで拾うために音入りが悪く、客席に十分に行き渡らないことがあります。音源ばかりの責任にはできませんが、これが解消すれば、いくぶん改善されることでしょう。また公共ホールは、クラシックコンサートやオペラに適するような設計を採用しており、反響や吸収を巧く組み合わせるように成っています。残念ながら、ミュージカル向きの設計には成っていないようです。ミュージカル向きの貸し劇場が増えると良いのですが・・。

ミュージカルは娯楽が基本です。このため、あまり音響の質には拘らない作品が多く、かつ観客も求めていないでしょう。それでも聞き苦しいものは苦しいわけですから、最低限の質は担保されることを望みます。