Fosse(フォッシー)を観て

あまりダンスレビューは観ないことにしていますが、話題作ですので観てきました。「キャバレー」や「シカゴ」の振付家であった(というより、もっと沢山の有名作品がありますが)ボブ・フォッシーの集大成作品です。毎度言うことですが、チケットが高い・・。

偉大な振付家・演出家

1927年生まれ、1987年没。オスカー賞、トニー賞、エミー賞の三冠を成し遂げた唯一の演出家です。もともと役者・ダンサーとして出発し、その後に振付があたって、自ら演出も手がけるようになった人です。一部では脚本も手がけ、映画監督をやっています(映画ではアカデミー賞)。単なる掛け持ち屋ではなく、いずれも一級の才能を認められた人です。

したがって、没後になっても集大成ダンスレビューがブロードウェイで演じられるのですね。「キャバレー」や「シカゴ」の振付家と紹介しましたが、現在ブロードウェイで演じられている作品は、彼の弟子達が振り付けたもので、オリジナルからは変わっているそうです。この「フォッシー」は、彼の振付を忠実に再現しようとしたそうですので、当時のものが息づいているのでしょう。

風変わりなステージ

休憩を挟んで三幕5場、27曲のダンスナンバーが披露されました。旧い作品が多いため、知らないナンバーもありますが、あちこちのレビューショーでお目に掛かったナンバーも多かったのです。「SING SING SING」や「MR.BOJANGLES」「I WANNA BE DANCIN' MAN」、あるいは「MEIN HERR」「RAZZLE DAZZLE」等々です。黒が基調でしたが、派手な衣裳も登場し、なかなか楽しい演出でした。しかも、セットがシンプルです。

一番の特徴は、関節を巧みに生かしたダンスでしょうか。手首、足首、膝、肘、腰はもちろんですが、首・肩までクネクネと曲がり、複雑なイメージを出しています。あるいは、後方や斜め横に傾く動作でフォーメーションを見せてもいました。シルエットを大事にし、大きな動作も小さな動作もミックスしています。また広いステージを端から端まで使うのも素晴らしく、トリオでも見飽きません。

また何といっても、ダンサーのレベルの高さを実感します。難しいダンスであるのに、一糸乱れぬダンスを見せます。足や手でリズムを取るシーンでも音に乱れがなく、ぎこちなさがありません。オーバーアクションがあったときは、少しフォーメーションが乱れますが、上手にフォローしています。これらダンサーがあるからこそ、実現可能なステージなのでしょう。

オリジナルナンバーのダンスレビューショーを讃えられる振付家が、ボブ・フォッシーに続いて現れてくることを望みます。でも、当分はダンスレビューショーに行かないことでしょうね。