あんだぁすたでぃ

アンダースタディ、「代役」のことです。日本では、あまり見掛けませんが・・ブロードウェイでは日常茶飯事です。ロングランすればするほどに、主役級でも代役が登場します。その実力は、なかなか侮れません。

例えば・・。

ブロードウェイでは、PLAYBILLにキャストが書かれています。毎月改訂されるので、月中に怪我や病気でキャストが休むと、メモ書きが挟まれています。ほぼ定型文ですが・・「AT THIS PERFORMANCE, THE ROLE OF ○○○, USUALLY PLAYED BY ××, WILL BE PLAYED BY △△.」などとあります。「本公演の○○○という役は、いつも××だが、今日は△△の予定です。」という感じです。一公演で1〜2枚は挟まっています。

また代役ではありませんが、ダブルキャストに変わった場合もメモ書きで説明されています。月初から決まっている場合は、PLAYBILLに明記されていますが、月中でも結構変更されるようです。期待していたキャストが、その日を外れている場合のショックは大きいですけれど。

代役を用意するのは、欠かさず公演スケジュールをこなす為です。キャストが欠けたことを理由に公演中止をしていたのでは、地方や海外から来るお客様を失望させてしまいます。別のブロードウェイ作品に急遽変更するのは大変ですものね。したがって、常に一役1〜2名のアンダースタディを用意しておくわけですね。

主役の代役は、主役級

主役の代役を務める人は、もちろん主役級である必要があります。間違っても、アンサンブル級の人が主役を務めることは赦されません。とりあえずキャストが埋まれば良いのでもないので、技量ナンバー2だったり、実力ナンバー1だったりする人が、代役の場合もあるそうです。

ブロードウェイは、質の維持に厳しいです。それがロングランの成否を決めるだけに、実にシビアです。したがって、技量や実力が優れていても、主役以外に使い道がなければ、主役の代役にせざるを得ません。日頃は他の配役を与えることも可能ですが、それも善し悪しだそうです。ときおり主役と代役を入れ替えたり、全米ツアーやジャパンツアーに出したり、舞台を踏ませることもあるそうですが、それだけに必死です。主役か代役かではキャリアも違ってきますから、激しい競争もあるようです。

ミュージカル「オペラ座の怪人」では、オペラの主役カルロッタが役を降り、その代役に抜擢されるクリスティーネが人気を博します。これは極端にしても、代役が大当たりして主役と交代することも多いそうです。アンダースタディを、単なる交代要員と認識するのは、禁物ですね。

劇団四季は日常的に1役に複数の人間を当てています。多くは、複数のキャストを演じられるようにして、遊ばせていませんが・・これがやや質のブレを生む原因のようです。東宝の「レミッズ」は以ての外ですが。出演しない代役まで喰わせられるのは、やはりブロードウェイの偉大さなのでしょうか・・?