ちょっと劇場まで

かれこれ、300公演に届こうかというミュージカル鑑賞です。しかし、劇場に10分以上の余裕を持って入場することは、稀です。大抵の場合は、5分前か開演ギリギリです。極たまに、開演直後だったりしますが・・。

知らない劇場、よい劇場

東京芸術劇場とか、アートスフィアとか、通い慣れた劇場は感動がありません。いつかも書きましたが、街の隅っこにある小劇場を訪れるのが、とても楽しいです。公演チラシから劇場の見当を付けたり、ネットで検索したり、とりあえず劇場に着くまでがスリリングでウキウキしてしまいます。

もちろん小劇場はボロいですよ、ほとんどの場合。演劇界は相変わらずの不況ですから、なかなか綺麗な新設劇場は望めません。公営劇場は綺麗だというのに・・です。しかし、ボロいにはボロいなりの良さがありまして、よく書くように、臨場感が楽しいです。そして緊迫感もあります。失望させられることも多いですが、とりあえず良い劇場だと信じて、よい作品だと願って、劇場に通います。

どこで探してくるのだろうと思うほど、都内には数多くの劇場があります。ちょっとしたスタジオだったりもしますが、実に意外な場所に、実に意外な劇場が、潜んでいます。置きチラシとか眺めると、変わったカラーの催しが多いことを発見したり・・。それで劇場のカラーも見えてきたりします。

劇場までの楽しみ

とりあえず劇場を発見しても、時間があれば周囲の散策が欠かせません。この街はどんな雰囲気で、劇場はどういう位置づけにあるのか。劇場を前後左右から見たり、遠目にしばらく眺めてみたり、喫茶店や書店などを巡ってみたり、道行く人々を観察したりしています。ただし、あまり時間を費やすと・・自由席では良い座席がゲットできません。程々にしていますけれど。

とくに面白いのは、他のお客様です。花束やケーキなどを下げて歩かれる人が多く、何となく着飾っていたり、それとなく稽古着っぽかったり、雰囲気で劇団関係者と思われる方が多いです。駅から劇場までの道で、それとなく雰囲気を醸している人が同じ劇場に入ると、ああヤッパリそうなんだ、と感じます。あとは一家打ち揃って歩いておられる劇団員のご家族とかも多いですね。

イケナイことと知りつつも、道行くお客様を観察してしまいます。帰り道で、他のお客様を眺めたりもしますが、公演前と公演後で表情や話しぶりが違うのも、印象的です。イソイソ、ソワソワしている人々を見掛けると、何だか自分もソワソワ、イソイソしてしまうようです。変な趣向ですが、結構愉しいのですよ。毎度の楽しみにしています。

実際のところ、こまめに劇場に通うのは面倒です。近場のはずなのに時間を食うことも多く、往復時間が、公演時間よりも必要だったりもします。作品に出会う楽しみだけでは、なかなか続きません。劇場に通う楽しみを見つけることで、今日も「ちょっと劇場まで」というノリを保っています。