成りきりコスチューム

宝塚歌劇団の作品や、宝塚亜流系の作品を観に行くと、必ずと言って良いほどに、フリフリのスカートや、年齢に不似合いなほど可愛い衣裳を着ている「お客様」を拝見します。観劇の時に、キャストに感情移入をするには欠かせないと聞いていますが・・。

宝塚歌劇団は、苦手です。

よく質問を受けることは、宝塚系のレポートが無いことです。OB出演のものは1作書いていますが、現役の公演は書いていません。過去に2作品を観たことがあります。1作品目は、本コーナーを立ち上げる前のものでした。2作品目は、1000days劇場へ出かけて観た「ウェストサイド・ストーリー」でした。

1000days劇場は、JR有楽町駅に近い場所にあります。ファンショップを併設した巨大な劇場でありますが、発売日当日のチケットにも関わらず、とても後方席でありました。何しろキャストが豆粒ほどなのですが、S席なのでした。本作は「トゥナイト」など名ナンバーが多いので、非常に楽しみにしていましたが、その落差にガックリしました。

開演前から、随所に成りきりコスチュームのお客様が、ウジャウジャ。結構似合っている人もありますが、少しグラマーすぎる人には似合わないかなぁ、なんて観ていました。当然ながら、お客様の大部分は女性です。男性が圧倒的に少ないですので、居心地が悪いのもあります。最悪だったのは両隣のお客様が・・すっごい香水だったことです。一方の方は成りきりタイプの人でしたし、息苦しく一幕途中で退出しました。

成りきりコスチューム

以来、宝塚歌劇団の作品は観ていません。高いチケット(昔は随分と安かったそうですが・・)で、配席は悪く、隣席の方々の香水に酔って、不気味なコスチュームの方々・・やはり宝塚は女性のための劇団なのでしょうね。また宝塚亜流の作品でも同様の傾向が見られます。もともと宝塚に憧れた人たちが亜流作品を作って居られるので、お客様も同系統の方が多いようです。幸い小劇場系では、若いファンが多いようなので、ドギツイ香水に悩まされることは少ないですが・・やっぱり苦手です。

日本では、なかなか成りきりコスチュームにお目に掛かりません。セー○ーム○ンのようなアニメ系作品は未体験なので分かりませんが、一般的な作品では少ないように思います。子供ミュージカル系では、典型的なオタク・コスチュームでお見えに成るお客様が多いようです。客層を見ると、その作品に有名なチャイドルが出るのかどうかの、目安に成ります(笑)。

先日、グループサウンズを取り上げた作品がありました。1960年のビートルズブームの時代のもので、当時らしさのあるコスチュームのお客様が結構ありました。皆様それなりに齢を重ねておられましたので、当時の若者層の方々なのでしょうか。ポンポン持参の方もあって、いいノリでした。

外国では一般的

しかし、外国では一般的であるそうですね。映画館に登場人物そっくりの衣裳を着てくる観客が多いと聞きます。「13日の・・」「エルム街・・」などホラー系作品で多いと言いますが、どうか隣席に座られませんことを、心から祈ります。香水地獄よりも、気味が悪いですよね。

ブロードウェイで再演中の「アニーよ銃をとれ」では、カウボーイハットを被ってきたりするお客もあるそうです。11月から同じく、ブロードウェイ再演が始まった「ロッキー・ホラー・ショー」では、不気味な怪物コスチュームで劇場に通われる方もあるとか。できれば劇場外でお会いしたくないです。

日本で成りきりコスチュームが少ないのは、時代背景に西洋モノを遣う作品が多いからでしょうかねぇ。コスチュームを身につけるということは、それだけ自分が登場人物と同化し易いことが前提ですから、等身大の登場人物が出るような作品でしか、お目に掛かれないでしょうか。それだけに、国産で舞台も登場人物も日本人というのが、良いかも知れません。

ミュージカル・李香蘭」にジュリアナ扇子とチャイナドレスとか、「ひめゆり」にサーベル下げた軍服とか・・・あったらあったで不気味かなぁ。今度ニューヨークへ行くことができれば、「オペラ座の怪人」でファントムマスクでもして、観に行こうかな。