劇団によっては自前の劇場、定番の劇場を使うパターンが多いですね。でも中堅劇団では、いくつかの劇場を使い分けることもあるようです。小劇場系には、順々に大きな劇場に移って、多くの観客を動員していって欲しいです。
大きいことは良いことか?
注目劇団の一つであるTOKYOBOWZ(水島さん、激励メール感謝!)は、その名に相応しくなく、2年ぶりの東京公演がありました。劇場は、中規模へ移って客席が良くなりました。キャパも増えた反面、私の観た回は客足が少なかったです。セットも良く、出来もまずまずだったので、惜しいことです。
比較的前方席で観た私でさえ、少し迫力不足が気になりました。マイクレスであったことも一因ですが、後方席ではちょっとどうなのかな〜、と。あれぐらい空いていれば、後方席を閉鎖してもどうかね、なんて。でも良かったですよ、ホント。
劇場が大きくなれば、当然に利用料も高いですね。それでペイする作品を出すかどうかは別にして、やはり大きい劇場で観たいものです。迫力が足りないなら運用で調整しましょう。大きいことは良いことだ。空席について劇場側が煩くとも、無視しましょう。
失われる臨場感
とはいえ、大きい劇場は小劇場系の魅力が半減する面もあります。平面的で奥行きがなく、ステージと客席が近接するミニ劇場は、臨場感があります。大きいと臨場感が失われて、パワーが半減するのですよね。
例えば、いつもチケプレにご協力くださる劇団魔印D。今回はブディストホールに進出して、客足も良かったようです。これまでは中野のウエストエンドだったので、手狭な分臨場感がありました。殺陣が売り物なので・・後方席で観るとちょっと幻滅。広いステージを使い切れない雰囲気も惜しかったです。
あるいはアクトレスシアター。今回は東京芸術劇場(小ホール)に進出しましたが、とても非力さが目立ってしまいました。作品はブロードウェイ物で、セットや演出も拙くなかったのですが、迫力を欠きました。結局、劇評も書かなかったし・・。前回はウッディシアター中目黒という横長の客席。今回は縦長になってパワー不足が目立つ形でした。女性が男声を出すため声量が不足し、広い劇場を持てあましたチマチマした演技になったのも残念です。チケプレ読者の感想も、賛否両論でした。
反対に、無期限休団を宣言された劇団アルミ館。前々作は広い劇場で迫力不足でしたが、前作は超ミニ劇場へ移りました。それなりに臨場感があり、目前で泣きの演技を見せられて大感動もしましたが・・・客入りは前々作よりも少なく、残念でした。それが実力の限界だったのか、単に劇場の大きさを読み損なったのか。
劇場と作品の見栄え
ポン太のコメントで、チケット代は大きな要素だと書きました。もちろん評価基準に劇場の規模(グレード)も入れています。大きい劇場で高いチケット代であるほどに、評価は厳しくなるわけです。それだけに、劇場を移って同じような出来映えだと、評価がグッと下がります。矛盾しているようですが、移る以上はそれなりのモノを求めたいです。
座席の善し悪しは評価基準に加えていません。確かに前方席と後方席では評価が違ってきますが、できるだけセンター中段席を基準にするように努力しています。この点で評価がブレることは少ないと思って下さい。あくまで出来映えを評価するために、見栄えの影響を排除したいと思っています。でも完全には、排除できないですよね。
小劇場系では、ゲネプロの段階になって初めて劇場を知るということが、本当に多いと聞いています。それはあまりにも残念です。いつもの調子で作った作品が、大きい劇場で勘が狂うのでは問題です。客の反応が変わって戸惑うというのも理由に成りません。
まず初めての劇場は、他人の作品などで研究しましょう、皆様。
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