ブロードウェイ特集/
シアター=ディストリクト

ようやく憧れのニューヨークへ行ってきました。一足早い盆休みを貰って、6日間の旅です。詳しくは、連載物の「エセ・ニューヨーカー日誌」をお読みいただくとして(CM)、今回は劇場街(シアター=ディストリクト)に関する話題です。

オン・ブロードウェイ

いつかも書きましたが、ブロードウェイというのは、NYマンハッタン島を南北に貫く道路のことです。マンハッタン島は、アベニューとストリートで碁盤状に仕切られていますが、ブロードウェイだけは例外です。何本ものストリートと交わっていますし、いくつものスクエアやパークと接しています。

通常、「オン・ブロードウェイ作品」と呼ばれているのは、このブロードウェイにon(接)している劇場で上演された作品を指します。なかでもシアター=ディストリクトと呼ばれる一角にオン・ブロードウェイの劇場は集中しています。ディズニーのように次々に劇場を丸抱えして進出してくる場合もありますし、RENTやコンタクトのように昇格してくる作品もあります。

ブロードウェイから外れた立地で小規模な劇場を持つのが「オフ・ブロードウェイ作品」です。もう40年も続いている「ファンタスティック」など例外もありますが、多くは長くて2カ月程度で消えていくそうです。

シアター=ディストリクト

劇場街は、思ったよりも狭いエリアに密集していました。ネオンがギンギラギンであるのは予想通りでしたが、行政の努力もあり、最近の治安は大いに回復しているようです。中心地は、NYタイムズ社に由来する「タイムズ・スクエア」ですが、セックスやドラッグで溢れていたとは想像できないほど、平和です。

治安回復に大きく貢献したのは、ディズニーの進出効果が大きいそうです。今では、「美女と野獣」「ライオンキング」「アイーダ」の3作品が上演されています。これらを合わせても、オン・ブロードウェイとして上演されているミュージカル作品は、20程度です。劇場は40以上ありますが、残りの劇場ではストレートプレイやパフォーマンスが主体になっているそうです。

タイムズ・スクエアの対面には、当日券の安売りが行われるチケッツ「tkts」があります。最近改装されたそうですが、毎日行列ができています。tktsについては、次回で述べます。

相次ぐ、ロングラン閉鎖

これまでロングランを誇ってきた名作も、相次いで閉鎖になるようです。中でも公演回数で世界記録を持つ「キャッツ」が9月クローズです。当初はもう少し早くにクローズの予定でしたが、クローズを公表したとたん客入りが良くなり、延長されています。再演している「ジーザス・クライスト・スーパースター」もそろそろクローズです。派手なチケットの安売りで、一花咲かせようとしているそうです。

また個性的な「ミス・サイゴン」も12月でクローズの予定です。ブロードウェイでは難しいアジア系作品だけに、惜しまれます。大がかりな舞台装置が印象的な作品でしたが・・・。他にもクローズの噂が出ていた作品が、いくつかありました。次回NYへ行くまで、持ちこたえて欲しいです(笑)。

ロングランを支えてきたのは、アメリカの好景気です。シアター=ディストリクトの治安が回復したことも、ジャズのメッカであるハーレムの治安が回復しつつあることも、全て好景気のお陰です。閉鎖は景気と関係がないそうですが、魅力的な作品が次々出てこないことが気がかりだとか。客に受けそうな作品ばかり出てきて、ロングランになるような作品が多く出ないそうです。キャストの話題性でロングランを引っ張ろうとしている作品もあるそうですし・・・。

日本でも名前を聞くような作品が健在なのは嬉しいです。しかし少しずつ減っていくのは残念ですね。もっと全米ツアーやジャパンツアーもやって、長く公演を続けていって欲しいと思います。とりあえず米国の好景気も続いて欲しいですね。