ミュージカルのルーツ

前回に続いて、いつぞやのネタを改めて取り上げます。日本では、オペラやオペレッタの上演回数も増えているそうですが、ミュージカルとは比べるべくもないですね。

オペラの種類

オペラの発祥地は、イタリア。17世紀の初めに歌唱劇として登場し、これにバックミュージックやダンス、派手な衣裳が伴うようになったと伝わっています。芸術的な価値に拘るイタリアオペラに対抗して、比較的開放的なドイツオペラが作られましたが、結局は上流階級のためのものでした。モーツァルトやワーグナーが貢献しました。

イタリア=オペラでも、正統派なものをオペラ=セリア(神話や英雄伝説が主体)、喜劇調のオペラ=ブッファ(風刺など)と呼び分けています。さらにオペラ=ブッファの影響を受け、よりコミカルなオペラがフランスで登場し、オペラ=コミカルと呼ばれる潮流に成りました。代表作品にビゼー作「カルメン」があります。

オペラからオペレッタ

オペラ=コミカルが盛んになったのは18世紀の末で、時代はフランス革命。中産階級にまで広がったオペラが、より庶民的な路線に転換するのに時間は必要なかったようです。19世紀に入ると、パリに陽気で風刺的な歌劇が登場しました。これがオペレッタ(軽歌劇)です。

オペレッタでは、オッフェンバックやサリバン、レハールらが活躍し、この文化はそのまま自由の国アメリカに持ち込まれました。これらはニューヨークのブロードウェイ劇場街で相次いで上演され、人気を博しました。専用劇場も建ち並び、ロングラン作品もリリースされました。

ミュージカルのルーツ

ところが、オペレッタもやはり芸術的で形式張ったところがあり、ブロードウェイにはなじまないとして、よりショーに主眼をおいた作品群が登場します。より派手な衣裳、活きの良いダンス、賑やかな歌声・・・これらがミュージカルと呼ばれるようになります。

しばらくはオペレッタとミュージカルの棲み分けが進みましたが、第一次世界大戦後にはオペレッタが駆逐されて、ミュージカル黄金時代を迎えます。音楽・舞踊・演劇の融合が一層進んで、ウィットの利いたお洒落な作品が次々とリリースされました。

同時期、イギリスのロンドンでもオペラ=コミックが変容して、ミュージカル化が進みました。現在のロンドン=ミュージカルの発祥です。こちらはオペレッタを飛び越す形で成立しましたが、ブロードウェイと作品の交換や同時上演も盛んになっています。

東欧などではオペレッタの上演が依然として主流ですが、むしろミュージカルがオペレッタに格上げされて上演されることも多いそうです。プラハなどではオン・ブロードウェイ作品の定期公演も行われているそうです。