ま え せ つ

前説」は、落語用語です。前説明の意味で、本題が始まる前に、全体の構成や軽い話などをして、会場の雰囲気を盛り上げる効果があるそうです。

導入の役割

時代背景の難しい作品は、前説から入ればスムーズです。登場人物に長々とセリフ調で話させるよりも、作品冒頭で流れを説明する方が便利です。ナレーションを入れる方法もありますが、やはり1人か2人で登場して、少し前振りをしてもらう方が嬉しいです。

というわけで、前説を入れてくれる劇団が増えています。単に時計や電話のアラームを切って欲しいとか、飲食は禁止ですとかだけだったりもしますけれど・・・。先日のTOKYOBOWZでは、ちょっとコント擬きを交えて、携帯電話について客席に質問を投げたりしていました。また劇団鳥獣戯画では、登場人物がウインナーの歴史などを披露して笑いを取っていました。

長すぎず、諄すぎず

とはいえ、長すぎるのは不可でしょう。とくに内輪受けを狙いに行ったりするのは最悪です。あくまで最小限のコミュニケーションと、リラックスをし理解を深めてもらうのが狙いですから。雰囲気を盛り上げずに盛り下げるのは困ります。

またクドクドと話すのも困ります。とくに話の下手な人間を使うのはマイナスです。できればキャストを使って、軽妙な語り口で楽しませてくれる人をチョイスして欲しいです。大体においては、前説を定番化している劇団は、それなりに巧く演出しています。

後説もあって良い

前説があれば、後説があっても良いでしょう。難しい作品を演じておいて、後から解説するのでは最悪ですが、結末を省略して説明を補ったりするのは良いです。また劇団の考え方や次回公演の話をするのも、良い作品を観せた後なら許されます。後説の難しさは、お客様の満足度を測った上で話すことですかね。

またカーテンコールで一言申し添えるのも良いと思います。とくに千秋楽でコメントをすることもあります。しかし一方で、キャストに順番に感想を言わせるような場合や、劇団代表がノコノコ出てきて蛇足を述べたり場合は、ツマラナイです。あくまでキャストが話すのが、後説でも基本になるでしょうね。

前説にせよ、後説にせよ、お客様とキャストの関係が密に成るのなら、ドンドンやって欲しいと思います。派手なカーテンコールも良いですが、ちょっとしたお客様への心配りが、次回作品の客入りに影響すると思っています。