メジャー劇団では難しいようですが、小劇場系劇団では客席通路を使う演出が定着してきたようです。上手に活用すれば文字通り立体的な演出が期待できます。
一つはファンサービス
普通にステージだけを使っていると、後方客席のお客様はツマラナイです。そういうお客様を作品に巻き込む意味でも客席通路を俳優が歩き回るのは有効です。お客様が作品に引き込まれてくれれば盛り上がり方も違いますし、何よりお客様がリピーターになる可能性も高いです。
所沢で上演された「Dear…」ではモデルガンを持って客席をうろつく演出や、客席両サイドに俳優が立ち並んでステージ代わりにするなどの演出が映えました。少し演出過剰でしたが・・・。
キャストが登退場するときに通路を使う演出は多く見掛けますが、話しかけたり、物を配ったりする演出もなかなかです。お客様から物を借りる演出も稀に見掛けますが、これはお客様のノリ次第でしょうか。
一つはシーンチェンジ
客席通路で何かを演じているうちに、ステージではシーンチェンジをするなどの工夫も見られます。お客様の注意が通路上のキャストに集まりますから、間を置かずにシーンを切り替えることができます。また通路からキャストが戻った時点でお客様の気分も切り替わりますから、新シーンの導入も遣りやすいようですね。
劇団鳥獣戯画の「豆の木に成れなかった豆」では、急で段数の多いセンター通路をキャスト二人が駆け抜けるという荒技を演出し、お客様の感嘆の声を集めていました。同じ会場を使った劇団未来良夢の「聖女伝説」でも、同じ通路を何度もキャストが走り抜ける演出をしていました。文字通り立体的な演出をするとともに、お客様を飽きさせない工夫でもあります。
客席通路を使うときに気を付ける必要があるのは、通路に置かれる荷物や、お客様の足でしょうか。アナウンスで注意を呼びかけたり、スタッフが事前に注意して回るなどが求められると思います。キャストが転んで怪我でもしたら終わりですからね。
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