スターは要らない?

看板スターで客を集める東宝、看板スターは居るけど当日までキャストを発表しない劇団四季、当日になってもキャストを発表しない劇団ふるさときゃらばん・・・スターは要るの?要らないの?

東宝ミュージカルの場合

東宝の看板女優といえば、大地真央さんですね。彼女が主演の作品は多いです。監督はじめスタッフが専属で付くそうですから、看板を支えるのも大変なのですね。その代わり、大地さんの公演は2か月以上のロングランはありません。やはり、出ずっぱりは大変のようです。

東宝が彼女を大事にする最大の理由は、堅固なファンクラブの存在です。大地さんが主演に決まると、たちどころにチケットの予約で埋まってしまうそうです。客集めがしやすくて、利益を保証してくれる大女優というわけですね。東宝ではミュージカル以外でも看板スターと専属スタッフを組み合わせて効率よく運営していると聞いています。

例外的なのが「レ・ミゼラブル」。こちらはロングランをする代わりに、主演もダブルキャストです。実際の問題として、毎日マチネとソワレの2公演ずつを一人こなすなんて不可能です。主演のみならず、メインキャストはダブル・トリプルキャストのシャッフル状態です。俳優同士の息が合わないところが見受けられるのは、そのためだそうです。それでも事前に配役表が配られるので、お客は自分の気に入ったキャスト構成の日を選べば良いように成っています。

劇団四季の場合

劇団四季にも何人も看板俳優がいますが、四季の場合は事前にキャスト構成が発表されないため、自分の観たい俳優が出てくれないこともあります。当初はシステムを作るのが面倒だからだ、とか言われていましたが、実は浅利さんの方針だそうですね。どの公演を観に来て貰っても、同じレベルのものを見せている・・・という自負があるからだとか。

だから「スターは要らない」のだそうです(保坂さんだけは、浅利さんのお気に入りスターなんだそうです)。たしかに質は揃ったのかも知れませんが、全体の質が低い方に揃ってしまったようです。商業的には、それが正解なんでしょうけど・・・ファンとしては寂しいです。

短期間だけ集中的にある公演は、キャストが固定であることもあります。李香蘭とか、はそうですね。ロングラン物では、やはり先々のキャストまで発表するメリットもないのかも知れません。

劇団ふるさときゃらばんの場合

ひょっとしたら、どこかに掲示してあるのかも知れませんが、そうだったらゴメンナサイです。ここの公演ではキャスト構成どころか・・・俳優の名前さえ分かりません。劇団員の紹介本はあるので、ステージと衝き合わせて確認すれば分かるのでしょうが・・・まあ、いいのかな。この劇団は劇団員全員に給与制を布いているので、看板は作らない方が賢明なのかも知れません。苦労して作った看板俳優が独立すると勿体ないですものね。

結局は・・・体力的な問題も?

一番の問題は俳優の体力なのでしょうね。ロングランとなれば、病気もするし、ダウンもするし、スランプもあるかも、と思います。体調不良でミスをすれば信用問題ですから、それへの配慮を考えればキャストは公開したくない、というのも分かる気がします。でも物足りないのは困りますよね。

私はヅカを知らないのですが、宝塚ではトップは出ずっぱりなんですよね。体力的に限界を感じたら引退し、次のトップに譲るというスタンスなのでしょうか。トップにいる間は全力で輝くような演技を見せてくれる・・・のだとすれば良いシステムだと思います。俳優の使い捨てになりますが・・・トップを退いても一度は魅了したファンは続いて呉れていますし、それなりに活躍できるのではないでしょうか。

自前の養成所で大量の人材を抱える宝塚のようには行かないかも知れませんね。でも、俳優を大事にしすぎないで、観客を楽しませることも考えて欲しいです。

  • ふるきゃらは、新作「噂のファミリー」で配役表をプログラムに添付していました。アンサンブルを含む全員分の写真入りという手の込みようで、よく分かりました。本コラムの効果があったのでしょうか。
  • 劇団四季では、ホームページ開設と同時に、キャスティングを公開するようになりました。かなり先の作品は無理ですけれども、せめて自分が観に行く作品のキャスティングは事前に調べることができますね。良かった良かった。