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雑記帳No.062
科学への探究心

 また、変なタイトルを付けてしまいました。中学生時代の話です。塾講師のO村先生が言いました。「私が科学に興味を持ったのは、ボットン(酌み取り式)便所のお陰だった」と。酌み取り式便所は随分と少なくなりました。ポン太の実家も、5歳頃まで酌み取り式でした。この便所の欠点は「お釣り」が来ることですね(お食事中の読者の方のため、直接的な表現は自粛します)。

 しかし、冷静に考えてみましょう。自由落下させたボールは、地面の弾性係数や空気抵抗や重力の影響を受け、落下させた位置まで戻ってきません。それにも関わらず、酌み取り式便所では「お釣り」が帰ってきます。「お釣り」を避けるには、落下開始と同時に腰を浮かせるなどのテクニックが求められますね。子供時代のO村先生は、真剣にこの問題を究明するべく物理学と数学を極めたのであります。
 そんな大した問題ではない無いですか? そうですね。落下させたものと「お釣り」は別物ですし、「お釣り」の方が質量は全然小さいのですから、当たり前の現象ですよね。エネルギー保存の法則と運動方程式から簡単に証明できますものね。しかし科学への探究心というのは、その何気ない発想に始まるのではないでしょうか?

 アルキメデスは、浮力を科学的に見いだして「アルキメデスの原理」を確立しました。風呂屋から王宮までストリーキングをしたというエピソードがありますが、彼は浴槽に身を沈めると水が溢れるという当たり前の現象から、王様のクエストへの答えを見つけるという大業を果たしたわけです。
 あるいはニュートンが確立した「万有引力の法則」もあります。林檎の木に実った果が自由落下する現象から着想を得たというエピソードがありますが、これも一般人には当たり前の自然現象に探究心を抱いて、発見に結びつけたものです。
 物理や化学の教科書を読んでみると、偉大な発見の多くは、ふとした偶然に支配されています。しかし、そこに深い探究心を持つ科学者が存在しなければ、未だに発見されていない科学現象もあったかも知れません。いや確かにまだ見つけられない科学現象の多くが、深い探求心を持つ科学者の出現を待ち望んでいるのかも知れません。

 さて、O村先生。彼が300年早く生まれていれば、「O村の法則」として科学史に名を留めたかも知れません。その代わり、彼のエピソードを聞く機会を持たなかったポン太は、今と全く違った進路を歩んでいるかも知れません。ポン太は、彼の探究心が伝染して理系の道を進んできました。近頃衰えが目立ち始めていますが、この探究心を奮い起こして、何か新しい発見を目指そうと思います。それが科学現象の発見になるか、社会現象の発見になるか、は分かりませんが。何か成果を残すべく、悪あがきしてみることにしましょう。

99.05.21

補足1
 探究心を磨くためには、頭を柔らかくしないとダメでしょうね。とりあえず、簡単な「頭の体操」をご紹介しましょう。例えば、電車の切符には4桁の数字が入っていますね。切符を使わない方は、時刻とか日時とかで4桁を考えて下さい。
 その4つの数字を適当に加減乗除して10という数字を作ってみましょう。1999なら1+9×9÷9=10(または、1+9+9−9=10)です。0521なら0+5×2÷1=10(または0×1+5×2=10)です。
 簡単でしょう? 毎日するのがコツなんです。古典的でごめんなさい。

99.05.21
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