日本最大の流通グループ・株式会社ダイエー。そのグループは300社の企業群より構成され、その年間売上げは6兆円に迫る。ダイエー(トポス、Dマート、コウズを含む)を核として、ローソン、マルエツ、九州スーパーマーケットダイエー、セイフー、十字屋、プランタン銀座など数多くの流通企業を従え、リクルート(情報)、イチケン(建設)、ダイエーOMC(金融)、フォルクス(外食)、ツインドームシティ(レジャー)など上場企業を配し、ダイエーフォートは公開を果たした。さらに神戸らんぷ亭、ほっかほっか亭、りきしゃまんなど上場予備軍も多く抱えている。
ともあれダイエー最大の問題は、借入金と後継者だ。借入金は3兆円(リクルート系を除く)を超え、それを個人信用で資金を借り集めた中内氏は、もう高齢だ。後継者と目される潤副社長はまだ若く、経営手腕も未知数ながら、その知名度はさほど高くはない。1997年末には倒産の危機も囁かれており、舵取り次第では「ダイエー丸」は沈没するかもしれない。
さて、ダイエーは大阪で産声を上げ、その後に神戸三宮を拠点として全国展開の足がかりとした歴史がある。本社は東京浜松町だが、本店は神戸ポートアイランドにある。ダイエーの前身サカエ薬局も発祥の地は神戸である。神戸に生まれ育ったポン太もダイエーと縁が深く、D−LAND、ビッグボーイ、PALEXといったグループ企業でアルバイト代を稼がせていただいた恩もある。一時はダイエーグループの株式を保有し、経営危機に巻き込まれて大損を出した仇もある。しかしダイエーの危機は見るに偲びず、中内社長宛に何本かの提案を行ったのが、本稿である。その期間は約2か月にわたり、原稿本数は30本に及んだ。
さて問題の中内氏の反応だが、これは残念ながらない。中内氏の指示で、人事企画本部の坂本氏に取材のご協力を頂いたばかりである。しかし本稿の一枚一枚に中内氏自身が目を通してくださったことは間違いがないそうで、これだけでも幸いである。今後のダイエーグループの自立再建と発展とに期待をしたい。
98.01.19
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