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政治の研究No.157
国会ショータイム2002

 いよいよ明日から、ペイオフが解禁になります。ペイオフの導入必要性が主張されてから、ここまで辿り着くのに多大な時間と犠牲が要求されました。「ペイオフ解禁までに十分な時間を取ることで、不良金融機関の淘汰が進んだ」と自画自賛される先生もあるようですが、もっと早くに導入してあれば「ペイオフ解禁で、国民の投資に対するリスク管理がシビアになる」、「リスクに応じた利回りを要求する個人投資家が増える」といった国民が享受できたはずの利益が、喪失されたことは否めません。

 幸いにして、2002年3月末の日経平均は11,000P台をキープしました。様々な不安材料があったものの、大手流通への対応策が一巡し、問題ゼネコンへの手当も見込みが付いたことから、一服感が出たというところでしょうか。政府・与党は13,000Pまで誘導したかった様子ですが、その目標には遠く及びませんでした。
 政府の目論見違いは、小泉改革の進捗遅延にあります。首相権限の強化、国会機能の正常化に向けて、小泉首相が本腰を入れ始めています。法案通過へ向けた官僚外し、与党外しに取り組んでいますが、与党陣の厳しい抵抗に晒されています。官僚は静観の構えに見えますが、特殊法人改革など再び矛先が向かない限りという条件が付きます。

 田中外相の解任に伴い、その背後で暗躍していたとされる鈴木宗男代議士の問題がクローズアップされてきました。官僚の操縦術に長けた鈴木代議士は、辛うじて与党離党で逃げ切る模様です。脛に傷を持つ代議士が多いお陰か、何とか代議士辞任を逃れた格好です。一方で、加藤紘一代議士は辞任に追い込まれそうです。秘書給与の流用問題により、社民党の辻元清美代議士にも飛び火し、さながらゴシップ探しの大合戦です。
 国民が飽きてしまうまで、負い目を持つ議員、敵の多い議員が的になって、次々に追い落としが図られるのでしょう。代議士として相応しくない行為を取った議員に責任を負わせるのは当然です。とはいえ、大なり小なり同様の傷を持つ代議士達が糾弾することは、許されるのでしょうか。政敵追い落としを兼ねたガス抜きと見られても仕方がありません。離党による不問ではなく、議員解任決議にまで踏み込んで、全員で襟を正すべきではないでしょうか。

 罪を問わないよりは、問う方が良いです。これまでグレーゾーンだった「口利きビジネス」などの手口を白日に晒すことも必要でしょう。しかし、それには拙速な対応では不十分で、むしろ司直の手に委ねて入念に調査し、関係者を全て処分することが重要なはずです。何人かを血祭りに上げるだけでは、再発防止に結びつきません。また公平性・公正性を欠くでしょう。
 さらに今という重要な時期に、政変で荒れていて良いものでしょうか。与党内の抵抗勢力は、相変わらず小泉改革の足を引っ張ることに熱心です。改革の歩みを止めた瞬間に、日本国は回復不能な打撃を受けることになります。代議士達の保身やエゴだけで、改革を遅らせたり逆行させたりすることは、許されません。国会でショータイムを持ち、見せ場を作るのも結構ですが、ダラダラとショータイムを続けるだけで、経済・政治・社会の危機を救えるのでしょうか?

 もしもショータイムが一番重要だと言うのであれば、今の代議士に存在意義はありません。優先すべき課題は何か、時間が掛かっても解明すべき課題は何か、政治屋達は行ってきた不正は何か、政官癒着はどう排除していくか、そういう議論を進めていただきたいと考えます。

02.03.31

補足1
 今期国会は、議員先生の間でゴシップ探り合い・・が流行のようです。
 社民党の辻元議員は疑惑を釈明できず辞任を表明し、秘書給与(手当)流用の指南役の存在から、土井党首の関与疑惑へと火の粉が散らばっています。辻元議員の場合は、私的用途への流用でなかったことが救いですが、家族秘書の設置、秘書給与の事務所管理など不明朗な経理管理が、若手議員の間でも問題視され始めており、スケープゴートとして同情の余地があります。
 一方の自民党では、加藤議員からドミノ方式で山崎幹事長、さらには小泉首相へと疑惑を拡大しているようです。結局は誰しも探られたくない腹の一つや二つがあるのでしょうが、先手必勝とばかりに告発・リークに躍起だとか。議員先生も受難の時代がやってきましたね。

 とはいえ、秘書給与を誤魔化したら議員資格剥奪、というのは分かりやすい懲罰だと思います。さらに言えば、秘書給与を誤魔化した程度で議員資格剥奪なのですから、それ以上に汚職をすれば、即議員資格剥奪というのも良いかも知れません。

02.04.08

補足2
 若手議員にとっては、活動費用の捻出が悩みの種であるようです。とくにクリーンさを謳う候補にとって、企業献金の受領は御法度。やむなく支援者に個人献金を呼びかけても、なかなか思うに任せないでしょう。一方の地元では、議員の台所事情にお構いなく、様々なお付き合いを求めてきます。資金潤沢な先生と同じ水準で期待されると、それに応えないと当選が覚束ないため、どうしても無理して付き合いがち。台所事情はますます厳しくなり、秘書の同意を得て一部ピンハネ(強制献金)に踏み込んでしまうのでしょうか。
 カネを遣わないと議員の椅子が維持できない現状を、改めるべきです。イベントやパーティーに呼びつけ、心付けを頂戴する。冠婚葬祭に声を掛けて、何某かの金品を頂戴する。事務所等に出入りして、タダ喰いタダ呑みする。我々有権者の側が、不必要な出費を議員に強いないことが必要です。何くれとなくカネを遣って下さる先生は、人に言えない資金源がある証拠(とくに資産公開で貧乏を強調している先生の場合)です。
 そうはいっても、秘書給与(手当)は国庫から支出されるカネですから、名目だけの秘書を登録し、目的外に流用することは良くないことです。いっそ厳しい台所事情を公開し、政治活動の本業以外にカネを費やしたくないことを、内外にアピールすることも一考しては?

02.04.08
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