先日、読者の方からメールを頂きました。匿名でしたのでお返事は書きませんでしたが、曰く「貴方は、国を愛していないのですね」とのことです。どうやらガイドライン法案にケチを付けたり、新国歌を制定しようと発言したり、自民党批判を繰り返したり、と暗躍しているのが愛国者として相応しくないそうです。
誤解を受けないように、弁明から始めましょう。私は右か左かと聞かれれば、迷わず右だと応えます。共産党の主張よりも、自民党や自由党の主張の方が同調できるからです。民主党や社民党は独自の見解を持ちませんし、公明党は宗教上の問題を抱えていますので、対応はニュートラルです。しかし共産党の主張にも納得できるものが多いですから、嫌いではありません。労働組合の活動にも噛んでいますので接点がありますが、受け入れられない点も多く目に付きます。
ではなぜ自民党の政策にケチを付けているのか、と言いますとですね。最近の自民党は最右翼へ、言い換えるとタカ派の主張へ引きずられる傾向を見せているからです。同じ右でも最右翼はお断りです。最左翼もそうですが、自分と対極の存在が認められない思想は嫌いなんです。一方的に唯一無二の価値観を押し付けるような思想は拒否してしまいます。
幸いにも今の日本政治は、とりあえずニュートラルに近い右翼です。ちょっと危なくなりかけていますが、一応信教や表現の自由は認められています。通信の秘密だって、職業選択の自由だって、かつてのソ連共産党支配よりはマシです。その日本政治が極端な方向に振れてしまわないように、ここで自分なりの思想を述べているに過ぎません。
私の思想がニュートラルだと言い張るつもりは、毛頭ありません。偏見を含んでいますし、意図的に歪めた主張もしています。ですから、全ての読者の共感を得られるとは思っていません。むしろ思想的に異なる方々にお読みいただきたいと考えています。読者の皆さまからご意見やご質問が出るのは当然だと思っています。
話を元に戻しましょう。私が愛国者かどうかでしたね。匿名氏のご意見では、左翼的な思想は売国奴なんだそうです。それじゃあ中国共産党の党員の方はみんな売国奴なんですか? かつて社会党が政権を握った時代がありましたが、あの時代左翼的な思想は売国奴だったんですか?
私は私なりに日本という国を愛しています。この自然、この街並み、この社会、この文化、この伝統を愛しています。だからこそ、そうした愛するものが変えられてしまうのは嫌なんです。日本が平和のために軍隊を持つことは必要だと思います。しかし他国政府に使われるだけの軍隊なら不要です。個人の人格を否定し画一的な教育を施すことは、行政サイドには便利でも国としては損なわれます。だから教育の多様化や人材の育成をすべきとの主張をしています。
翼賛化した政治や経済は、やはり国家の在り方を歪めます。言いたいことが言えない、正義が不正義に負ける、道理が引っ込んで無理が罷り通る、そんな日本は見たくありません。国を愛すればこそ、日本を良い方向に向かわせ悪い方向から引き戻したい、そういう気持ちで一杯です。軍国主義や全体主義を復活させるための政治は、お断りです。
結果的に、今の政府・自民党の在り方には楯突くことになるのかも知れません。しかしそれ故に日本を愛していないと言われるのは心外です。そもそも政府・自民党は日本国と別物です。今の日本国を大事に思うのなら、それを損なう存在を私は認めません。
これまでの政府・自民党は、日本国を損ないもしましたが、繕いもしました。ですから彼らに対する評価はニュートラルのつもりです。これからは分かりません。昔のように多少の内部対立や抗争を繰り返しても、開かれた政治を貫いて欲しいです。そうである限り、私は日本国同様に彼らを愛しましょう。政府・自民党が健全であるために民主党や共産党が頑張ってくれるなら、彼らも愛しましょう。
私は愛政者に成りたいと思います。愛国者には始めから成っているつもりなので、自然体で行こうと思います。
さて、匿名氏に問おう。貴方は愛国者なんですか?? 貴方の愛する日本国とはどんな国なんですか? 日本国の将来が損なわれることを望んだとして、貴方は本当に国を愛していると言えますか?
読者の皆さまも、たまには自問自答して下さい。自分は日本という国を愛しているのか、国を愛するとはどういうことか、愛する国を守るにはどうするか・・・と。
99.08.08
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