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政治の研究No.55
やる気のない少年教育(3)

 最後に国政レベルの話をします。

 国政レベルでは予算はふんだんに使われています。文部省予算は当然のこと、振興会や基金などからも多額の支出が行われています。しかし、それが有効に使われているかは別次元の話です。名目こそ青少年育成であったとしても、○○連盟や○○協会にばらまかれたままで、どこかに消えていくお金が多いのです。連盟や協会の職員人件費に消えるのを手始めに、消耗品代、通信費、交際費・・・と本来の青少年育成に使われません。そのくせに、カラー刷りパンフレットなどを発行しては、「青少年のための活動をしています」とPRだけは怠りないのです。また意味のない教材や教育機材を一括購入、または一括製作して下部組織や学校に強制配布するなんて無駄使いも横行しています。要するに連盟や協会は現金を末端へ配りたくないと言うわけです。そして一部では役員や議員のポケットマネーに化けている可能性さえあります(ビデオ制作費やパンフレット印刷費がべらぼうに高いのですから・・・何故かと考えるとね)。
 (1)で紹介しましたボーイスカウトや海洋少年団にも連盟組織があります。こちらはさすがに下部組織へ資金を回しますが、(これは幹部をやっていないので分からないのですが)組織への上納金を再配分する程度のようなので、補助金の一部が回ってきているのか分かりません。多額の寄付金も集めている割には配分額が小さいように見受けられます。本気で青少年団体をテコ入れするのなら末端組織にまで資金が行き渡るようにすることと、何にいくら使ったかの明細を公開させ、たとえ末端であろうとも不明朗な使途に流用させないことが必要です。

 金の話の次は、活動支援ですね。青少年参加のイベントはあまり多くありません。青少年団体は独自に地方大会や全国大会、国際交流などを行っていますが、一般の少年達が自由に参加できるイベントは多くありません。一昔前は若人の祭典とか、青年の集いとか、合同キャンプとかありましたが、最近は行政広報などを見ても、あまり見掛けません。行政側は参加者が少ないからと説明をしそうですが、PRが不足しているのではないでしょうか。
 イベントのほかに施設の提供があります。全国各地に公立の「青年の家」や「自然の家」が点在していますが、これは旧時代的な施設です。施設の老朽化もありますが、今時の子供受けするような設備が全く備わっていません。そのくせ規律はうるさく、一般のキャンプ感覚での利用は難しいときています。定時のオリエンテーション、早朝の国旗掲揚とラジオ体操、中身の少ないミーティング・・・と続きます。また活動の大半は引率者に委ねられていますが、引率者の野外活動知識が貧弱であり実効が上がりません。動植物の名前を知らない、飯盒の使い方を知らない、薪で火を熾せない、テントのペグの打ち方を知らない、地図や方位の見方を指導できない、少年達の喜ぶゲームで一緒に遊べない・・・など引率者の能力不足が活動を一層空虚なものに変えてしまいます。施設のスタッフが引率者に代わって指導をしてくれることはマレです。スタッフは施設を管理することが仕事と考えているのですから。
 イベントにせよ、施設にせよ、ハードウェアだけでは役に立ちません。ソフトウェアの充実を図らなかった行政の責任であります。これまでは施設を利用する側にソフトウェアが備わっていたという事情を勘案するとしても、現実に利用する側のソフトウェアが使いものに成らないのですから、行政側が新しいソフトウェアを提供する必要があるでしょう。在野には有能なソフトウェアがまだまだあります。それらのソフトウェア資産を有効利用する努力を是非是非考えていただきたいものです。

 しかし、上記の「青年の家」や「自然の家」は来る行政改革の過程で民営化されるそうです。現在赤字を垂れ流しているためで、これを民間活力を導入して再生すると行革会議は主張していますが、机上の空論であることは確実です。ソフトウェアの充実を図ってもいない段階で民営化すれば、軒並み破綻するのは確実であります。民営化してから破綻してしまったら、施設や職員はどうなるのでしょうか・・・。そして少年達を育成する設備の代わりはどこに求めればよいのでしょうか? 行政の少年教育に対する熱意の無さがひしひしと感じられます。

99.01.16
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