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政治の研究No.53
やる気のない少年教育(1)

 読者の方から教育を扱ってはどうか、と言われています。しかし教育問題は難しいと考えております。まず第一に、個々人が受けてきた教育そのものが違う上に、学校や教師との相性などで主観的な意見の持ち方が違ってしまいます。もちろん視野を大きく取れば議論にも成りますが、その場合は抽象的に成りますので、やはり本質的な内容にまで触れるのは難しいかと思います。とはいえ、とりあえず私の身近な教育から取り組みたいと思います。

 教育は学校教育だけで行うものではありません。地元の町内会などが行う社会教育もあります(自治会、青年団、お隣さんなど色々あります)し、自宅で親から受ける家庭教育が重要であります。家庭教育は誰しも同じだけに受けることはできません。核家族化や少子化、共働き増加により、家庭教育の受けられない子供がいます。しかし町内会に参加する大人が減少して、社会教育機能も弱体化しています。結果として家庭教育や社会教育の不足を学校教育に押しつけることになりますが、偏差値重視で人格形成などには見向きもしない現在の学校教育では多くを望むことができません。教師さえも偏差値世代が多数を占め、充分な人格形成を怠ってきてます。そんな教師達が子供達を正しく教育できるのでしょうか。
 家庭教育や社会教育を受けられない子供達には、別途少年教育の場を設けるべきだと考えます。手頃なところで子供会がありますが、その教育機能はかなり低下しているようです。活動に参加する大人が減っていることと、活動に参加させる親が減っていることが理由です。少子化が進んだ結果、子供に手が掛からなくなりました。比較的裕福になり、自分で子供をレジャーに連れ出すようになったこともあります。近所付き合いが煩わしいことも理由かも知れません。児童館制度もありますが、先の教師の問題と同じで、少年教育を行える職員が減少しています。とくに子供は管理するものと誤解している若い職員が目立ち、むしろ害を成しているようにも見受けます。

 これを補うために青少年団体を活用すべきだと考えます。ボーイスカウトやガールスカウト、海洋少年団というのがあります。こうした団体は、指導員が元団員と言うこともあり、ボランティア精神が旺盛な上、自分たちの体験に基づいて子供達の指導に当たるため、実効性の高い社会教育ができます。適度な規律があり組織がありますので、友達や兄弟の少ない子供達には価値があると思います。しかし、青少年団体の多くは近頃弱体化しています。
 やはり少子化の影響もありますが、活動資金が不足して魅力ある活動を維持できない問題があります。今時の子供は贅沢です。好き好んでハイキングやキャンプに参加しません。友達には飢えているので活動には顔を出しますが、くだらない(と彼らが信じている)活動には見向きもしません。一昔前なら少数派でしたので、放っておくと居なくなったのですが、今はそう言う子供が多数派なので引き留める努力が必要です。難しい時代に成りました。
 いくらボランティアとはいえ、子供達を行事に連れ出すと費用が掛かります。実費負担でも良いのですが、子供達の両親はそうした出費を嫌います。未だに青少年団体に子供を預ける親たちは、ただ預かって貰いたい、というのが本音だからです。資金さえあれば活動は続けられるのですが・・・資金不足のジリ貧状態から参加する子供は減少を続け、活動は縮小されていきます。

 行政手腕で社会教育の充実が図れないのであれば、青少年団体に資金でテコ入れしてはどうかと思います。しかし行政は口先ばかりで真剣に予算を用意する考えがありません。この点は次回に書きたいと思います。

99.01.11
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