ホームページ(以下、HP)を開設している国会議員が年々増加しているそうです。本格的に利用されるようになったのは1996年の衆議院選挙以来と謂われていて、国政選挙としては参議院選挙で二度目となります。単なるプロフィール紹介に始まり、政策提案や地元の紹介、電子メールの受付など多彩です。中には写真集擬きもあります。政党もHPの作成に熱心です。本部や支部の紹介、所属議員の紹介、などなど情報満載の傾向を示しています。
まあ、政党HPはともかくとして、議員個人のHP開設については、違法か、適法かで議論が分かれています。選挙を管轄するのは自治省ですが、先の衆議院選挙でも警告は発したものの、選挙へのインターネットの利用禁止はしていません。アレから二年が経っていますが、HPの開設・運用はなし崩し的に行われています。選挙とは無関係な時期に掲示されるページは良いとしても、インターネットを選挙活動に使い始めると違法となる蓋然性が高いです。ポスターやビラの配布には配布枚数等に厳しい制約があります。選挙カーを使った運動の場合は活動時間の制約があります。郵便や葉書の送付や戸別訪問にも厳しい線引きが成されています。
7月2日の日本経済新聞夕刊記事によれば、「ご声援をお願いします」と選挙運動をやっているHPがある一方で、参院選を前に選挙法違反で告発されることを怖れて閉鎖したHPもあるそうです。選挙を管轄する自治省の優柔不断さが根底にある混乱ぶりです。インターネットは便利なツールですが、違法性の疑いが残る内に利用することは公僕を志す人物に相応しくありません。当面は自粛をするのが妥当ではないでしょうか。
とはいえ、インターネットを選挙運動に使用することを認めさせようという動きもあります。民主党は既に法案を提出しており、来期の継続審議が決まっています。自由党も小澤党首以下、積極的な姿勢を見せているようです。どれぐらいあるかというと、確認できるもので118名のHP(「政治リンク」調べ)あります。
個人的な意見ですが、違法か適法かを問わず、インターネットは選挙に使って欲しくありません。インターネットは個人個人の善意と良心を期待して構築されてきたシステムであり、これまで規制を掛ける方向でしか動いてこなかった行政や立法がインターネットにただ乗りするのは、どう考えても納得がいかないのです。HP、電子メール、メーリングリスト(ML)や掲示板、チャットなど便利なツールを開発してきましたが、これらは選挙や公報に幾らでも悪用できるツールです。著名なHPに広告掲載を申し出たり、リンクを依頼してきたり(これは「政治リンク」に対して現実に行われているようです)、無差別な押し売りジャンクメールや、著名MLへの割り込み、一支援者を装っての政治家の称揚・宣伝、などです。アドレスへのエリアコードやグループコードの付与を提言したり、個人アドレスと個人情報の連動を考えるべきだという意見を吐いたりする政治家先生もいる以上、インターネットの政治への利用は最小限に食い止めたいと考えています。
98.07.08
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