「ウエストエンド(WEST END)」と通称される劇場街には、56の劇場があります(いわゆる小劇場は含まれない)。シアターランドと呼ばれる中心部に43劇場がひしめき、近郊の主要駅に他の劇場が展開しています。この劇場街に関する情報は、またの機会に紹介していきます。とりあえず、今回は「バックステージツアー」について書きます。
ドルリー・レーン劇場がお奨め
バックステージ(舞台裏)ツアーは、文字通りに、舞台裏を見せてくれるツアーです。不定期に開催する劇場を含めると、相当数の劇場が行っているようです。しかし、定期的に開催している劇場は少なく、現在把握している限りで、三つの劇場です。なかでも、ドルリー・レーン劇場のツアーがお奨めです。お値段は£8.5(約1,700円)と高額ですが、楽しい経験ができると思います。
この劇場の正式名称は「シアター・ロイヤル・ドルリー・レーン」と言い、ロイヤルボックス(皇室専用のボックス席)をも備える、由緒ある劇場です。ミスサイゴンを4,600回以上、マイ・フェア・レディを2,300回以上も上演しているミュージカルの名門劇場でもあります。シェークスピアに由来を発し、数々の人物彫刻・絵画・逸話なども備えています。ツアーでは、これを紹介した後に、舞台裏へと誘ってくれます。
残念ながら、英語オンリーです。予め非英語圏の人間であることを告げておくと、緩やかなスピードで解説してくれます(難しい単語の使用は避けてくれますし、発音はクリアーなので聞き取り易いと思います)。申し込みは、劇場のボックスオフィス(チケット売り場)でされることをお奨めします(電話でのチャレンジも可)。三日前の段階で、3名以上の申し込みが無ければツアーは中止されますので、注意してください。
中身を、ちょっとだけ。
ツアーガイドは、劇場の俳優が努めてくれます(出演予定者では無い、と思量)。ポン太が参加したツアーでは、前半部をキュートな女優が、後半部をナイスガイな男優が、案内してくれました。ともに20代前半という感じでした。容姿が綺麗で、発声もよく、ジョークも交えながらの楽しいガイドは、とても楽しめました。時間にして60分あまりですが、アッという間に感じます。
前半部では、劇場の歴史や関連人物の紹介、ロイヤルボックスの講釈と見学、舞台設営状況の見学と概説があります。後半部では、オケピ・舞台袖・移動通路・昇降装置の機械室・ドレスルーム・バックステージドアなどを順次見学します。ただし、後半部は公演準備に支障を生じる場合、割愛されることもあるそうです。講釈を受けている間は、見学ルートの彼方此方にある椅子に座れますので、さほど疲れずに楽しめます。
余談として・・・劇場に棲むゴースト達の話(とくに「グレイ」と呼ばれるゴーストが有名だそうです)、舞台下の移動通路の内壁をホワイトペイントに変えた原因、バックステージで微かにラベンダー臭が漂う理由、機械室で生じた不幸な事故、頑固なコンダクターの逸話、なども聞くことができます。
残念ながら、ロングランを続けていた「マイ・フェア・レディ」は一旦クローズします。劇場に接するコヴェント・ガーデンを舞台背景としているので、一層楽しめるのですが・・・ツアーは他作品上演時でも開催されていますので、ご安心を。
なお、Tourの英国式発音は「ツォー」です。米国式発音の「ツアー」で通じない場合は、言い直しが必要です。
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