リアリティ の 追求

芝居は、非現実的な世界です。ノン・フィクションに近づけることは可能ですが、それでもノン・リアリティな世界であるのは、仕方がありません。だからと言って、リアリティの追求を否定するものでもなく、やはり可能な限り追求して欲しいです。

どこまでもマイム

パントマイムは、体の動きだけで何かを伝える手法です。見えない壁に手を当てる、見えないハシゴを登る、見えないドアを開ける、見えないリンゴを食べる・・等々。プロの演じるマイムは、さもそこに物があるように錯覚させてくれます。ノン・プロでは違和感のあるマイムが多いのですが・・お約束のマイムであれば、何を伝えたいのかは分かりますからね。

そこまでハイレベルでなくても、マイムは必要です。空のコップから水を飲む動作、空の皿から食物を食べる動作など、小道具を使って演じるマイムがあります。舞台では、水モノと生モノを嫌います。加えて、舞台で飲み喰いすると、後々に悪影響が出ることも理由でしょう。ですから、お約束なマイムを見ることができます。

マイムは落語に学ぶ

水を飲むマイムなどは、日常何度も体験している動作であり、誰に教わる必要もありません。少しオーバー気味に演じる必要があるマイムもありますが、役作りのための研究に比べれば、はるかに身近で手軽なはずです。しかし多くの場合は、こうしたマイムのリアリティを欠く役者が目立ちます。おそらく他に掛ける手間で手一杯であり、こういう細かな動作は手を抜いてしまうのでしょう。

マイムが重要であるのは、落語です。小道具として、扇子と手拭いしか用いない古典落語では、限られた道具を使って、マイムを見せます。水を飲む動作は、手で作るコップを唇に当てる動作で表現されます。ここで、喉を鳴らせてゴクゴクと呑んでみせるべきですが、若輩者はコップを煽る動作で手一杯で、喉の動作まで追いつきません。真打ちともなれば、目つきから何から見事に表現しますが・・。落語は、聞くばかりでなく、見ることも勉強になります。

とある作品で、水筒のフタに熱い飲み物を注いだものの、飲むことなく水筒にフタを戻すシーンがありました。一回目は、そのままフタをしていたので、リアルワールドでは火傷するでしょう。二回目は、中身を捨てた上でフタをしていました。誰かに指摘されたのか、一回目は忘れていたものか。リアリティの追求をして欲しいです。

  • 余談ですが、舞台上で使う食べ物や飲み物は「キエモノ」と呼ばれます。一回演ると消えてなくなるから。実際に飲んだり食べたりすると・・その後の台詞や演技に支障が出るのだそうです。やはり演技力でカバーするのが、良いようですね。(2002.02.10)