輸入物でタイトルに書いてあるのがブロードウェイ、オフ・ブロードウェイという言葉です。何だかありがたそうですが・・・その正体は?
ブロードウェイ・ミュージカル
「ブロードウェイ(BROADWAY)」とはニューヨークのマンハッタンを縦断している通りの名前です。ここにはタイムズスクエアを中心に37の大劇場があり、これを「シアター・ディストリクト」と呼んでいます。ブロードウェイで上演される作品は観客動員数が高い商業物が中心で、そこで上演されたミュージカルは「ブロードウェイ・ミュージカル」と呼ばれて、箔が付きます。
主な劇場を上げると、ブロードウェイ、ヴァージニア、ニール・サイモン、ガーシュウィン、ウィンター・ガーデン、ジョン・ゴールデン、ロイヤル、プリマス、パレス、ブース、セント・ジェームズ、コート、ビルトモア、ユージン・オニール、ブルックス・アトキンソン・・・やはり無謀か。
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル
最近ちらほらと耳にする名前です。ブロードウェイ物以外は全てオフ・ブロードウェイ物ですが、一応はブロードウェイ周辺の小劇場で上演された物を呼んでいます(客席数300未満)。斬新なアイデアを活かした作品、政治や社会問題を扱ったジャンル作品が多いようです。オフ・ブロードウェイで人気の高かった作品はブロードウェイに昇格することもあります。オフ・ブロードウェイの存在がブロードウェイの品質を高めているようです。
さらに客席数が100人未満の劇場(喫茶店でも何でも、可)で上映されるミュージカルを、オフ・オフ・ミュージカルとも呼ぶそうです。
なぜ日本では、ブロードウェイか?
ブロードウェイ・ミュージカルは完成度の高い内容になっています。興行的にも良い作品群があるため、輸入しても失敗がありません。また日本の観客は看板に弱いのです。だからブロードウェイで大ヒットといえば多数のお客さまが呼べるのです。
オフブロードウェイの場合もB級のようなイメージはありますが、良い作品が多いようです。近頃は中小劇団が積極的にオフ物の輸入を始めているようです。しかし逆説的になりますけど、ブロードウェイでも良くない作品があります。スタッフやキャストは素晴らしいのに・・・というものでも輸入してしまう傾向はあるように感じます。
ノン・プロフィット・ミュージカル
「ノン・プロフィット」物とは、個人や法人の寄付金や援助金で催されるミュージカルのこと。オフ物以上に実験的、趣味的な物が多いようです。観客をキープするために上演ラインナップを公開して、期間限定公演を行う例が多いようです。もちろん観客のチケット代も集めますが、寄付金等に依存する割合が高いのが特徴です。
日本では「自主公演」と呼んでいて、小劇場系の劇団がこの部類に入ります。外国では劇団や作品への寄付は寄付金控除の対象になりますが、日本では対象になりません。エイズ問題や犯罪問題、青少年向けや子ども向け作品ぐらいには日本も控除を認めるべきではないか考えていますが、実現していません。ニューヨークでオフ物が台頭してきたのは第二次世界大戦後ですが、それまでの主役はノン・プロフィット物であったようです。
日本でもノン・プロフィット物やオフ物が商業公演に成長すると良いのですが・・・
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