前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第344回)
tick,tick...BOOM!
■鑑 賞 日 平成15年6月20日(金) ソワレ
■劇 場 名 アートスフィア(天王洲アイル)
■料  金 全席指定�,500円(前売価格)

■原  作 オフ・ミュージカル「tick,tick...BOOM!
 作・作詞・作曲:JONATHAN LARSON(ジョナサン・ラーソン)
■翻訳・訳詞・演出 吉川 徹 ■音楽監督 深沢 桂子
■美  術 松井 るみ ■照  明 高見 和義
■音  響 山本 浩一 ■振  付 夏貴 陽子
■衣  裳 沼田 和子 ■ヘアメイク 河野 はるみ
■舞台監督 二瓶 剛雄 ■制  作 伊勢 香織
キ ャ ス ト
ジョナサン  (山本 耕史) スーザン他  (YU−KI)
マイケル他 (大浦 龍宇一)
ス ト ー リ ー
 ジョナサンは、三十歳の誕生日を目前にして焦っていた。貧乏作曲家のままだが、ブロードウェイ作品を生み出せるエンターテイナーを夢見てきた。しかし、青春は間もなく終わる。頭の中では、「チックタック・・・バーン!」という不気味な音が響いている。ルームメイトのマイケルは、俳優を止めて、ビジネスマンとして成功している。恋人のスーザンは、NYダンサーに見切りを付けて、田舎での生活を望み始めている。
 期待の女優カレッサを主役に、自作ミュージカルのワークショップ公演を準備していた。この公演がブロードウェイのVIPに評価されれば・・・と、心は焦る。スーザンは去り、マイケルは余命ない難病であることを告げられる。そして。。。
コ メ ン ト
シナリオ 三人芝居というよりも、山本の一人芝居に近いです。語りが長大で、芝居が慌ただしい展開を見せます。「RENT」で成功を収めたとはいえ、作者自身を美化し過ぎた作品という印象です。
キャスト 山本は巧いですが、それ限りです。舞台初経験のYU−KI、ミュージカル初挑戦の大浦。この三人で8,500円の作品というのは、いかがなものかと。
ナンバー メロディは良いものの、ソングがよく分かりません。翻訳が不味いのか、何を唱っているのか分からないフレーズが目立ちました。シンガーのパワーだけで支えている感じです。ラストの「Louder Than Words」は、演出だけ盛り上がっていましたが、全体的に物足りません。
ステージ 正面に二階ステージを設けて、バンドを上げてありました。キャスター付きのミニボックスが三基あり、転換の度に意味もなく駆け回っていました。広い劇場で寂しいキャストを埋めるためなのか、無駄が多いように感じます。
衣裳もセットも、さほど費用を掛けていないようです。照明は総じて暗く、ステージのランプも安手感が目立ちました。必要以上に大きすぎる音響にも課題を感じます。音圧で圧迫して、客を騙そうとしたものでしょうか。
演 技 力 山本は、気難しげな青年役を好演していました。取って付けたような重々しさに不自然さが残りました。大浦は、一人で何役か演じていました。芸はありますが、オーバーアクションが目立ち、舞台貫禄は不足に感じます。YU−KIの演技は、かなり不満を感じました。
歌 唱 力 YU−KIは、ソングになると存在感を増します。とくに「Come To Your Senses」はボリュームもあり、感動しました。歌詞の意味がよく分かりませんでしたが、見事な歌声でした。
山本は、「Why」などで熱く訴えかけるものの、可もなく不可もなく。響きよい声の持ち主で、情感を込めるもの巧いはずですが、本作では今一つでした。大浦は、シンガーソングライターでもあるそうですが、舞台歌唱は力不足でした。
ダ ン ス 特記するほどに、ダンスシーンはありません。
総合評価 RENT」のオフデビューのためのプレビュー公演で突然死した、ジョナサンが主役です。その後の成功を観ることなく逝った彼を、神格化するファンまであると聞きます。
本作は、デビュー前の自分を主人公として書いた作品であるためか、多分に美化してあるようです。前評判ほどに完成度も高くなく、空回りした印象を受けました。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス

前回へ  ホームへ  次回へ