前頁へ  ホームへ  次頁へ
経済の研究No.170
株式投資で失敗しない方法

 このところの株式市場の活況化で、書店の平台に「株式投資に勝つ方法」とか「株で1億円作る方法」とか、ハウツー本がベストセラーのように並べられています。しかし、ハウツー本を読むだけで株式投資に成功するのであれば、プロのディーラーは不要なわけで・・・また彼らが失敗して大損するという話もないのであります。

■ 株式投資をしないこと
 意外に思われるかも知れませんが、株式投資に失敗しない一番簡単な方法は、そもそも投資に手を出さないことです。誰しも1億円の資金を使って投資を始められるはずもなく、一般的には100万円程度の小口取引から始めるでしょう。そこで大きく火傷をすれば投資を諦めるでしょうし、何かしら利益が出れば投資額を増やしてしまいます。
 火傷をするまで誰しも投資の魔力に憑りつかれ、いつしか火傷を負って火だるまになるまで投資を続けたりします。そもそも投資の基本は長期的視野に立って資金を運用することにあります。企業の成長性に賭けてキャピタルゲインを得ること、企業の収益性に賭けてインカムゲインを得ること、これが基本です。同時に大幅なゲインを求めてはなりません。無いも同然な預金金利よりは、マシな資金運用を目指すべきです。

■ あくまで余裕資金に限ること
 やむなく投資をするとして、その資金は余裕資金に限ることです。余裕資金というのは手持ち資金という意味でなく、この数年間は絶対に手を付ける必要のない資金です。例えば、自動車やマイホームの頭金にと思っているような資金、老後の蓄えと思っているような資金です。ただし、全てをスッてしまう可能性が高いことを忘れてはダメです。
 なぜ余裕資金なのか、ということです。中期的に必要になる資金、例えば子供の学資資金とか、予定の決まっている結婚資金とか、目的も時期も決まっている資金を原資にした場合はダメです。相場で儲かりつつあるときや、一時的に価値が減っているときに、処分を迫られることになって、結果的に大損することがあります。また目的が決まっていた場合、相場で失敗すると困ってしまいます。
 また短期的資金であれば、失敗した場合は生活に困窮してしまいます。間違っても他人から預かっている資金や、会社の資金に手を付けては行けません。成功すれば味を占めて2回3回と手を出してしまいますし、たった一度の失敗で首が回らなく成ります。相場で人生を棒に振ってしまうほど、無益な話もありません。

■ 投資相手をよく研究すること
 敵を知り己を知ることが、失敗しないことの基本です。CMで派手な宣伝をしている企業だから、最近話題になっている企業だから、という理由で投資をすると火傷は間違いなしです。その企業の業績が十分に良いのなら株価は高水準にありますし、そうでないのならCMや話題のウラを読む必要があります。イメージは幻想に過ぎません。
 まずは、会社四季報や会社情報などチャート付きの情報誌を買ってみるのが良いと思います。ある程度銘柄の検討を付けたなら、つぎに有価証券報告書総覧など企業財務の詳細な資料を取り寄せて精読します。企業HPやネットIR情報なども調査すべきですが、総覧は必読です。そして、その企業を取り上げたような書籍を、書店で購入または立ち読みしましょう。どんな書籍があるかについては、ネット書店などで検索できます。
 どの企業の銘柄を買うかは、とことん研究することはもちろん、自分自身がその業務内容などを理解できるかどうか、その企業を好きになれるかどうか、が重要にも成ります。どんなに利益の上がっている企業でも、社会的に批判を受けている企業は避けるのが良いです。あとは市場の噂なども収集し、どういう噂が撒かれているか、その真偽はどうか、仕手など変な筋は参加していないかどうか、徹底的に分析もしましょう。

■ 投資計画を立て、惑わされないこと
 ネット株価情報やチャート集などを入手して、ターゲットに決めた企業の直近株価を調べます。その株価は高いのか安いのか。十分に研究していれば、その目安は分かるはずです。同業他社との比較なども忘れてはいけませんね。高ければ、ジッと待つことも有効です。決算直前に不自然な高値を付ける銘柄も多く、そういう銘柄を買う場合は、毎年の傾向なども見て安値で買いましょう。
 そして証券会社を通じて、株式を買いますよね。手続は省略しますが、買う前に良く銘柄の情報を仕入れることが必須です。自分の調査で手に入らない情報を教えてくれることもありますので、危ないと判断したら買わないことです。ただし担当者の個人的なコメントには振り回されないことも肝要です。また担当者の推奨株は、間違っても買うべきでありません。
 購入したとすると、いくらで売るかを決めます。十分な調査をしたわけですから、突発的な材料がない限り、高値は見当が付くはずです。目標はその予測高値より少し安い水準に設定し、目標値に達したら必ず売却することです。その後、いくら上がるとしても様子見せずに売ることです。

■ むすび
 投資は長期的視野に立って行うべきだと書きました。短期的視野で激しく売買を繰り返すと、ほとんどの利益が手数料で消えてしまうことに成りかねず、また投資でなく投機に陥りがちです。失敗しないことの基本は、ドッシリ構えた投資をすることと、自分の判断を大事にすることです。ただし、情報収集は毎日たぬまず続ける必要があります。

00.06.03

補足1
 多分に偏見の多い記事ですが、御参考にしていただけましたら、幸いです。今回は投信やミニ株投資について言及しませんでした。その他も含めて、いつか続編を書いてみようと思います。

00.06.03
前頁へ  ホームへ  次頁へ