総会で出された質問と回答をいくつか抜粋したい。
株主総会が集中する今日という日を選んだのはなぜか?
本当はもう少し早くに開きたかったが手続に手間が掛かったために今日になった。(後日にしなかった理由は言及せず)
定足数を満たさない以上は、仕切直しにして後日再招集してはどうか?
(流会、流会賛成の怒号があり)「あなた何時にしましょうか?」と社長がとぼける。さらに総務担当者が「第1号議案(今期決算)は出席者の過半数で決まるので問題ない」「第2号議案(監査役選任)は1/3株主の出席で成立」と説明。第3号議案(解散決議)、第4号議案(株主提案による第三者監視機関の設置)には言及せず。その後、サクラによる質問で流会問題はお流れ。
自主廃業の決定は大蔵省証券局長の指示だというが本当か?
本当だ。6月22日に(自主廃業を呑んだら日銀特融を出すと)言われたが、外資提携を模索しておりその場では回答を避けた。翌日日経新聞が「自主廃業へ」と書いたのでやむなく自主廃業を決定した。22日に裁判所へ(破産手続で)出掛けたという噂は事実無根。
廃業の決定は臨時株主総会で行うべきであって、決定は無効であるし、背任行為ではないか?
あくまで営業休止を決めただけであった。廃業を決定したわけではない(総会の時点で全支店を閉鎖し、全社員を解雇しているのにである)。取締役会に決定の権限はあった。臨時株主総会は時間上無理だった(その前の「意図しなかった」との発言を撤回)。
なぜ会社更生法適用ではなく、自主廃業なのか?
日本国を代表する企業として迷惑を掛けたくなかった(顧客と株主には多大に掛けてもである)。また当時の資産では債務超過でなかったので破産申請は難しかった。(現実には債務超過だという質問に対して)当時は予測できなかった。渡辺常務が答弁し「その後の諸経費や売却損については見積もりしていなかったことは認めるが、二日間寝ないで作業した結果、1000億円の資産超過と考えた」とコメント
資産売却価額が安すぎるように思う。また整理損が大きいのもなぜか?
株主は山一投資信託株を三和銀行に売却する際、「保有資産から見ても最低1株30,000円はするのに14,000円で売却したのはなぜか」と質問。渡辺常務は「評価方法には色々あり話し合いでそうなった」と繰り返し発言。整理損は現状回復に1坪当たり50万円以上支払うことを指摘されたが、渡辺常務は「現状回復費は業者見積もりそのまま。賃貸は中途解約のため3〜6か月分の家賃保証を行うのはやむを得ない」と発言(誰の金を預かっているのか、全く分かっていない)。
残存不動産の評価が甘いし、破産債権が2/3も回収できるとは考えられないのだが。
「残存不動産の大半はグラウンドや研修所に関するもので482億計上しているが、現実には250億から300億で売却することになるだろう。破産債権は1/3引当金を積んだので充分だと考える」と渡辺常務。また子会社の整理状況について「投資額はほぼ回収できる見込み」とコメント。好業績だったアメリカ法人については、整理益の話がなかった。
役員がファーストクラスを使ったり、相変わらず経費三昧と聞く。役員に今支払われている給与は?
ファーストクラスは「事実無根」と発言。その後「12月以降、役員は海外へ行っていません」と補足した。「社用車は使っている、大事なもの(役員のこと?)を運んでいるので」と発言。(役員が電車で通うという話は聞かないのだが、という発言に対し)「電車で通ってます」とあっさり発言。「役員報酬は受けていないが、部長には部長並みの給与を支給」とコメント。(社長はいくら貰っているかとの質問に対し)「恥ずかしい金額なので言えません」とはぐらかした。
メリルリンチへの資産売却はどうなるのか?
「什器類や店舗建物の譲渡については交渉中で何も決まっていない」と渡辺常務。(7月1日から旧山一店舗で営業開始との新聞報道があるとの発言で)「他社の事なので分からない。それに物件は山一證券の保有物件ではなく、他人のものなので知りようもない」と発言(子会社である山一土地建物保有の資産についても把握しておらず、そんな状況で破産資産を回収できると思えない)。株主は大爆笑。
なぜ転換社債の繰上償還を急いだのか?
「山一の営業休止が転換社債の「期限利益喪失条項」に該当すると受託銀行から指摘があり、大蔵省の許可を頂けたので繰上償還した。この時点では債務超過になるとは想像もできなかった」と渡辺常務。この人の発言は一貫して木で鼻を括ったようなコメントばかり。「機関投資家を救っても個人株主を救わないのか。あなた方役員はどれだけ株数を持っているのか?」など相次いで厳しいツッコミが入る。
自己破産を申し立て、債務超過でなければ会社更生法申請、ということで再建できたのでは?
同じく株式が紙切れになるとしても株主の正直な感想。プライドの固まりである山一首脳陣には破産など以ての外...であるらしい。
簿外債務を知らなかったと言っているが、本当に全員が知らなかったのか?
社長は1997年初頭の大阪勤務時代に一度疑義を持ったが、「「ない」というコメントをそのまま信用。11月に入って初めて知った」と発言。五月女会長が「全ての取締役が知らなかった」とぬけぬけと発言。少なくとも会長、社長はそれと知って役を引き受けたはずである。
監査役は簿外債務を発見できなかったのだから、同じ監査役を選任する意味がない
「簿外債務は一部役員しか知らないほど巧妙であったので、監査役の責任ではない。」(本来出るはずの為替差損などが決算報告書から消えることに疑問を持たなかったのは能力の欠如でないか、との質問で)「私も営業畑出身でよく分からなかった」と社長の爆弾発言。どの取締役も7〜8年は取締役員会に出ていたのに分からなかったのか、とひやかし。
旧経営陣に対する民事訴訟は本当に考えていないのか?やらなければ現経営陣も同罪だが
「本当に罪があったか分からない。今は(法的責任判定委員会の)報告書が作成されているので結果待ちである(中間報告ではクロだそうだが、最終報告はいつ纏まるのか不明。おそらく握りつぶし)」、(報告書は公開されるのかとの質問に対して)「公開するようなものではないと考えています。判断は我々がします」と会長発言。
今回の総会の記録は取っているのか、公開するのか?
「ちゃんと取っています。公開はしません」と社長。この日、テープレコーダ類の持ち込みは認められなかった・・・
98.06.26
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