今期国会もあと1週間です。相変わらず多くの法案が成立しています。また衆議院を通過してきた法案の処理に、参議院も急いで対応を始めているようです。いつもなら、やっと終わるという安堵感が拡がるところでしょうが・・・。
一旦は自自公連立を了承した自由党の小沢氏。自民党が公明党にラブコールを送るほど、不機嫌に成っていたようです。そもそも自自連立に踏み込むときに、衆議院比例区の定員を50名削減すると約束させたにも関わらず、公明党の反対で通らないことが確実になりました。自民党による自由党軽視に、小沢自由党は反旗を翻すことに成りそうです。
自民党が強気に転じたのは、自公を合わせて衆議塩シ(シェア63.7%)、参議院で129名(同51.2%)に達しており、必ずしも自由党が必要でなくなったという理由があります。自民党に合流するのであれば問題はなかったのですが、自由党は依然として小沢氏を核として結束しており、目障りだということでしょうか。選挙協力の点でも、自民党の現職議員を破って当選した1回生議員の多い自由党とは共闘できないとの話もあるようです。
先日から、自自公で協議を進めているそうですが、結局定員削減には応じないとの結論が纏まったようです。自民党の小渕総裁は、公党間の取り決めだから守らないといけない話だとしながらも、国会も終盤であることから敢えて妥協はしない方針を表明しています。自由党は与党離脱を武器に交渉していただけに、このままでは再び野党化することに成るのでしょう。
今期国会の自民党復活に繋がったのは、言うまでもなく自自連立です。衆参合わせて51名の自由党が371名の自民党を振り回したものの、その代償として小渕首相は数多くの懸案処理に着手できたのです。民主党の抵抗を骨抜きにできたのも自由党の野党離脱があればこそです。ここで自由党を切り離すのは決して得策ではないと思いますが・・・。
自由党が野党化すると勢力図はどう変わるでしょうか。独立路線の共産党は別として、民主党148名と共同歩調を取ることになるのでしょう。合わせて200名の勢力に成るものの、自公の半分です。やはりインパクトは弱いと見ざるを得ません。また与党入りを強く望んだ議員が多かった自由党は、未だに意志を捨てていないとすると、与党離脱に反対する議員が出そうです。
しかし、選挙となれば別でしょう。自由党が離脱すると、ますます自公一体化がクローズアップされます。とくに反学会票が大量に野党側に転じると見られ、その受け皿は民主党よりも自由党に成りそうです。また自民党内の反公明派が与党から離脱し、新党設立か自由党合流かを選択する可能性もあります。総裁就任が難しくなったYKK周辺の動向に注目されます。
以上の観測は、多分に希望的要素を含んでいます。とくにYKKが自民党を離脱する可能性は低いと思います。それでも、重要法案で反対票を投じたり、欠席したりという主流派を揺さぶるだろうと見ています。とくに参議院でのギリギリ過半数というというシェアは微妙なものですから。
反学会系の宗教団体の一つが、自ら支援している自民党国会議員18名を動員して政教分離の明確化を求める署名活動を始めているそうです。同様の動きは水面下でかなり活発化しているはずです。宗教団体がキーとして動くことは良いことではありませんが、この際ある程度は目を瞑ることにしましょうか。
政治は安定しなくてはいけません。しかし安定とは他の何者の圧力も受け付けず、国の最高機関として機能する意味での安定です。圧倒的多数の与党が出現することによって、どんな法案でも通過するというのを安定とは言いますまい。そのためには、恒に政局が流動的である方が好ましいです。複数の与党と、複数の野党が存在し、政策の摺り合わせや問題点の洗い出しに取り組むことが理想的と言えましょう。
現在の自自公連合にしても、実際に動いているのは自民党執行部ばかりです。弱すぎて統率力のない執行部でも困りますが、強すぎて暴走するような執行部でも困ります。これまで小渕首相をメディアは莫迦にしてきましたが、結構したたかな人物であるのが明らかに成っています。そうであるなら、あまり首相の権限ばかりが強まるのは得策ではないでしょう。
民主政治の究極目的は、独裁体制や独裁者を生み出さないことにあります。政局流動化のためにも、自由党や自民党反公明派の活躍に期待します。もちろん民主党にもね。
99.08.06
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