Overture。日本語に訳すると、序曲です。開幕の直前に流れるナンバーのことで、オーケストラがいると、派手にぶちかます演奏です。指揮者が拍手を受けたり、スポットライトを浴びたり、オケピが迫り上がってきたり・・・いろいろな演出を伴います。開幕を先にして、本編前に演奏されることもあります。
最初は、なかったのに・・。
序曲は、本来オペラの独壇場でありまして、開演のファンファーレに代えるものとして、結構長い時間演奏されることが多いです。最初の頃は、演目(ナンバー)のダイジェスト版のメドレー曲が定番でしたが、わざわざ序曲を作曲する作曲家まで出始めて、逆に「序曲」だけ有名になってしまった作品もあるとか。序曲の目的は、これらからピッドでひっそり演奏に専念するオーケストラのため、大いに目立つ場面を提供しようということらしいです。したがって、ソロ演奏があったりもしますし、本編よりもリキの入った演奏が繰り広げられます。
ミュージカルのルーツは、いつかも書きましたように、レビューです。これにオペレッタの要素が絡んでいます。もともと娯楽性の高いエンターテイメントですから、重厚な「序曲」は似合わないはずでした。それでも、ナンバーのダイジェスト版なら演奏しても良いだろう、ということで・・序曲を加える作品が増える傾向にあります。序曲ナンバーを、新たに作曲する作曲家は・・まだ少ないようですが。オーケストラの生演奏を使う作品が増えたこともあり、オペラ同様にオーケストラへの配慮もあるようです。
本音は、違う?
あるオペラ通によれば、序曲のルーツは、少し違うらしいです。イタリアやドイツでオペラが上演され始めた当時、お客の大部分は貴族や金持ち。ホールや通路でのおしゃべりに熱心な彼ら彼女らを、座席に座らせるのは大変だったとか。上演時間になったからと開幕してしまうと、その後にダラダラと客席が埋まっていくことになります。開演ベルなども使ったようですが、素直に座る連中でなく、係員が追い立てる相手でもない・・。オペラは、オープニングが大事です。オープニングに全員を着席させるために考えたのが、序曲だったそうです。
このためかどうか、序曲が10分近くも演奏され、気合いの入った名曲を用意することになるようです。音楽だけなら、ホールでも通路でも聞けるワケですし、ジャカジャカ演奏が始まれば、私語も収まるというアイデアだったとか。ミュージカルで真似たのも、どうやら同じ理由。やはり作品は最初から観て欲しいので、着席に十分な時間だけ序曲を演奏するのが佳い、となったようです。ミュージカルでは、二幕開幕前にも序曲を入れる傾向にあります。開幕ベルで呼び集められないお客様を座らせるためには、やはり序曲が適しているようです。
四季が上演中の「マンマ・ミーア」では、ABBAの名曲をアレンジしたメドレー風序曲が使われます。照明を組み合わせた演出、サラウンド音響もよく、なかなか魅力的です。近頃では、ナンバーリストに「オーバーチュア」と入れる作品も増えていますので・・・よい風潮かと。
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